Case File#5 絶妙なライブ感「トーキョーライブ24時」

ソーシャルエンタメ的事例の第五回目、Case File#5として取り上げるのは、テレビ東京で 2014年3月31日(月)から 4月11日(金)までの2週間限定で放送された『テレビ東京開局50周年特別企画「トーキョーライブ24時~ジャニーズが生で悩み解決できるの!?~」』について

 

 

 「トーキョーライブ24時~ジャニーズが生で悩み解決できるの!?~」は、TOKIOの松岡昌宏さん、KinKi Kidsの堂本剛さん、嵐の相葉雅紀さん、関ジャニ∞の安田章大さん、NEWSの小山慶一郎さんという豪華なメンバーが日替わりでMCとして出演し、アシスタントの「ナナナ」と一緒に東京タワーから生放送で、視聴者からのお悩み相談を、2週間ぶっ続けで行うというものでした。

 

「トーキョーライブ24時」公式サイトスクリーンショット
「トーキョーライブ24時」公式サイトスクリーンショット

なんともテレビ東京らしいと感じるこの「トーキョーライブ24時」は、2014年7月23日に、日経BP社主催の「ソーシャルテレビ・アワード 2014」の【特別賞】を受賞しました(日経BP社のニュースリリース)。授賞理由としては、 データ放送やLINEを使った双方向企画で、選考対象の全38番組中で、視聴者アンケートに基づく話題度が最も高かったということです。

確かに、ソーシャルエンタメとしても、「生放送でLINEを活用して視聴者から投票をしてもらい、番組内で投票結果を発表する双方向企画」という最初の事例と言えるでしょう。ここでは、「LINEを活用」というのがミソとなります。というのも、単に「生放送で視聴者から投票してもらい、投票結果を番組内で発表する双方向」という形態であれば、かなり以前から NHKの「あさイチ」でほぼ毎日実施していますので。。 。

 

「トーキョーライブ24時」では「みんなでお悩み解決!トーヒョーライブ」「いるなら会いたい!シューゴーライブ」「一言メッセージ」などのコーナーがありましたが、そのなかでも「ソーシャルテレビ・アワード 2014」【特別賞】授賞の理由となった「データ放送やLINEを使った双方向」の企画である「みんなでお悩み解決!トーヒョーライブ」のコーナーついて少し詳しく述べていきましょう。

 

「みんなでお悩み解決!トーヒョーライブ」の流れは、以下のような感じです。

  • 公式LINEや公式サイトであらかじめ投稿されたお悩みのなかから、スタッフが厳選した(?)お悩みを、MCがその場で投稿者に生電話する。
  • お悩みの詳しい話をきいてあげ、MCが投稿者とともにお悩みの解決案を2~4案提案する。
  • リモコンの色ボタンと対応した解決案の内容がひとつづつTV画面上に表示される。
  • 全提案が出揃った後、LINEで選択肢が視聴者のもとに送付されてくる。
  • 視聴者はリモコンの色ボタンで解決案を選択する、あるいは、LINEで送られてきた選択肢を選んで送付し返す。
  • 視聴者投票の集計結果がTV画面上に表示される。
  • 投票結果最上位の解決案で、すっきりしたかどうかお悩み投稿者に評価してもらう。

以上。

 

深夜ラジオっぽいノリのテレビバージョンというようなお悩み相談の流れですが、この一連の流れのライブ感が半端なかったです。

  • MCが解決案を述べていくのを追って、TV画面上に一文字ずつタイピングされていくところ。
  • タイプミスやタイプし直しもそのまま表示され、文章が長くなりすぎないように、言葉を選びながら何度も文字が表示されたり消されたりを繰り返すところ。
  • 解答案が全部出揃うと、直後に視聴者のスマホにLINEの解決案選択肢が送られてくるところ。
  • そしてその後まもなくTV画面に、視聴者の投票結果(LINEとリモコンからの総計)が表示されるところ。

 

データー放送やLINEというデジタル技術を駆使しているのにもかかわらず、このような一つ一つの動作に、「まさに今、頑張ってやってます~」というアナログ感が垣間見えて、なんとも独特な雰囲気なライブ感の溢れる企画でした。番組を支えていた技術スタッフは、さぞかし対応が大変だったのじゃないでしょうか。そういえば、番組中にアシスタントのナナナが「連日の生中継でスタッフの疲労が尋常じゃない」というようなコメントを発していましたね。

 

「トーキョーライブ24時」「みんなでお悩み解決!トーヒョーライブ」。これぞまさに「発信側と視聴者側の双方向のコミュニケーションを行うことで作り上げたエンターテインメント」。ソーシャルエンタメ的にも伝説となる番組といってもいいでしょう。

 

LINEに関して、いくつかデータを記録してあったので、詳細を記載します。

トーキョライブ24時 LINEアカウント

ID:@tokyolive    登録者数 : 244,152  (2014/4/21現在)

トーキョーライブ24時 LINEアカウント
トーキョーライブ24時 LINEアカウント

 

2014/4/7(月)  News 小山 MC 回

LINE参加数 : 約 88,000 人 

「上手なクロワッサンの食べ方」の件の投票数 : 総計 約 35,000

「超熱血の年下上司」の件の投票数 : 総計 約 33,000

 

2014/4/9(水) 嵐 相葉 MC 回

LINE参加数 : LINE上に数値が表示されず 

各お悩みへの投票数 : 総計 およそ 49,000

 

2014/4/8(火) ダウンロード(DL)開始のナナナスタンプ

4月8日の1日で 290万 DL

4月8日、9日の2日で 420万 DL

4月11日までに 520万DL

 

LINEの参加数については残念ながら 2014/4/7分しか確認できませんでした。

お悩みへの投票数は、各回 30,000~50,000 といったところです。

10月から 、開局50周年の特別企画として放送された「トーキョーライブ24時」がレギュラー化され、2時間前倒しの「トーキョーライブ22時」として帰ってくるそうです。LINEのアカウントIDも @tokyolive が継続されるもようです。あのデジタルとアナログが入り混じった絶妙なライブ感がまた味わえるのかと思うと楽しみですね。時間帯が少し早くなって、あの深夜帯のゆるゆるさがはたして出せるのかどうかが、すこし気がかりですが、、

 

ちなみに、「ソーシャルテレビ・アワード 2014」を授賞した番組としてトーキョーライブ24時」のほかにどのようなものがあったか、軽くご紹介しておきましょう。

 

「ソーシャルテレビ・アワード 2014」

【大賞】
 『THE MUSIC DAY 音楽のちから』(日本テレビ)

【日経デジタルマーケティング賞】
 『王様のブランチ』(TBSテレビ)

【日経エンタテインメント!賞】

 『テラスハウス』(フジテレビ)

 

【特別賞】
 『おやすみ日本 眠いいね!』(NHK)

【特別賞】
 『トーキョーライブ24時 ~ジャニーズが生で悩み解決できるの!?~』(テレビ東京)

 

【大賞】を受賞した『THE MUSIC DAY 音楽のちから』は、今年の 2014年7月12日に放送されたものではなく、昨年 2013年7月6日に放送されたものが授賞対象だそうです。生放送中に嵐が『A・RA・SHI』を歌うのに合わせて視聴者がリズムをきざみ、最終的に137万人以上が参加したという番組ですが、これについては、別の機会に詳しくご紹介したいと思います。

 

そして、ソーシャルエンタメを研究する者としては、なぜあの番組が受賞対象でないのかと、疑問に思っているものが一つだけあります。

 

Let's天才てれびくん」(NHK Eテレ)

 

リモコンのボタンや矢印の機能だけで、生放送で双方向性のこれほどのゲーム性の高いものが実現できるのかと感心してしまうほどの「Let's天才てれびくん」に、ぜひとも「ソーシャルテレビ・アワード」技術賞】を差し上げたいものです。 「ソーシャルテレビ・アワード」の選考委員の方々には技術賞】を増設を検討していただきたいです。「Let's天才てれびくん」がどのようにゲーム性が高いのか、これについても別の機会に詳細をご紹介したいと思います。

それにしても、「トーキョーライブ24時」での、ジャニーズの方たちの真面目で真剣な様子は驚くべきものでした。普通の人なら、べつにどうでもいいかな~、と軽く流してしまうようなお悩みに対しても、なにかしらの解決法を真剣に見出そうとするところは、他の人にはなかなか真似のできないことじゃないでしょうか。ほんとに絶妙な人選でした。

 

また、ナナナの生放送対応力にも驚きです。ナナナという着ぐるみに、中の人・博多大吉さんのトーク力をプラスしたことによって、一つのキャラクターが爆発的に人気が出ていくさまを目の当たりにした2週間でした。